天才と呼ばれた努力家。

それは少年時代にまで遡る。非常に虚弱体質だった私は、友達の誘いを受けたこともあり自分自身の体を少しでも強くしようと心に決め野球を始めました。すっかり夢中になった私は、毎日の自主練習を積極的に行い欠かすことはありませんでした。 そんな自身の野球時代を語る上で、決して忘れることのない私の中の永遠のスターは広島東洋カープの【前田智徳】選手です。幼き自分は、前田選手だけを見続けていました。それは何故ですか?と聞かれても、そこに「明確に答える理由」がないのです。『この人は美しい』としか思っていなかったはずです。 特に、3番前田、4番江藤、5番緒方のクリーンナップ時代は、自分の中では芸術的であり理想的で、観ているだけでとても幸せでした。 ヘルメットを深く被り、その奥の瞳から投球を狙う鋭い眼光、凛とした高潔で気高く美しいバッティングホーム。それは毎度見るたびに鳥肌が立ちました。 【前田智徳】選手の投球を打つ姿は、まるで、一人の天才剣士が敵を一瞬にして切り込むような瞬き一つするのも惜しいと思える異次元空間に見えたのです。 私は、小学生から中学まで野球をやりましたが、結局「野球」には本質から向いていない為、どんなに努力をしても補欠止まりでした。今となれば野球をすることはありませんが、野球をしたからこそ【前田智徳】選手に出会えたのだと思っています。【前田智徳】選手は野球をする為に生まれてきた「求道者」だと考えます。一つの世界において、己の技術を磨き続け精進する姿は私の中の「永遠の憧れ」です。 例え、住む世界が違っても、携わるジャンルが違っても、ふと私の中で何かを極めようと思った時に、【前田智徳】選手の姿が今でも頭を過ぎります。 やはり『天才』とは、その道を極めようとした「偉大な努力家」のことであると痛感させられます。 もうずいぶんと時間が経ち、時代も流れていきますが、私は今でも【前田智徳】選手が大好きです。